3.3 保険選びの詳細

3.3.1 手術あたりの給付金はあるか
3.3.2 入院日額いくら必要か
3.3.3 入院日数何日までか(60日、120日など)
3.3.4 対象となる病気やケガは何か
3.3.5 入院1日目から保障は必要か
3.3.6 入院通算何日までか(1000日など)
3.3.7 給付金はすぐ支払われるか。
3.3.8 定期か終身か
3.3.9 10年ごとの報奨金はお得か
3.3.10 誰でも入れる保険は必要か

※保険は、日々新しい商品がでます。
 保険によってはこれまでの常識をくつがえすこともあります。
 保険に入る場合は、保険を決定する前に、どこかに相談した方がよいでしょう。


3.3.1 手術あたりの給付金はあるか

これは一番重視したいポイントです。
手術では、高額療養費制度を使っても、
10万円弱は必要だし、何かとお金は必要です。

保険金で何を補うかは、こちらが決めることです。
入院のためとか、通院のためとか、保険会社に決めてもらう必要はありません。
これからお金が必要になりそうだというときに
早い段階で、まとまった額が出る保険がありがたいでしょう。

入院日額は、早くても1ヶ月後ぐらいにしか請求できませんが
手術給付金だと、保険会社によっては、診断されただけで出ることもあります。
ただし手術の種類や入院を伴うかどうかで
出たり、出なかったりするのでチェックが必要です。


3.3.2 入院日額いくら必要か

ポイント
・個室に入院したいなら1万円以上は必須。
・自営業、フリーランスは高いほどよい

個室入院にこだわらないなら5千円で大丈夫です。
どうしても個室に入りたいなら、1万円は必要です。

都内だと1万円では心もとないでしょう。
どうしてもそれに備えるのなら、
自分が入りたい病院の個室料金をいくつかネットで調べ
それを目安にするのが現実的です。

自営業やフリーランスなら、
今の生活を守るためは 日額の保障は多いほどよいことになります。
そうはいっても日額を高く設定すると
その分、月々の保険料も高くなるので 日額1万円位が現実的でしょう。  

また、手術給付金が入院日額の倍数で決まる保険が多いので
給付金を確保するために1万円にしておくというのもひとつの考え方です。

3.3.3 入院日数何日までか(60日、120日など)

ポイント
・半年以内の再発は継続とみなされる(医療保険)
・可能な範囲で日数の長いものがよい。
・できれば120日は確保したいが、入院が長引く病気は限られる。
・長期医療保険も選択肢のひとつ。

180日以内に同じ病気で再入院すると、
前の病気と通算してカウントされる保険が大半です。

例えばガンになり手術で2ヶ月入院し、
退院から半年以内に再発した場合
医療保険の場合
3月 手術、入院    30日
4月 入院       60日(累計)
5月 退院
6月 −
7月 −
8月 −
9月 −
10月 再入院、手術  90日 (累計)

退院から再入院までの間が5ヶ月のため
10月の再入院は、3月の入院の続きとカウントされます。
もし、あなたの医療保険が60日タイプなら 10月の再入院では何もでません。

前の病気から180日以内でも、別の病気やケガなら支払われる保険が多いですが
保険によっては、どんな病気やケガでも180日は
1つの疾病とみなすものもありますので確認は必要です。

最近は、入院日数はどんどん短くなるなっています。
動けないほどの大きなケガ以外で入院が長引く代表的なのは、
ガンと脳梗塞などの脳の血管障害、それに総合失調症です。
ガンが転移したり
脳梗塞で半身不随になったり、寝たきりになれば、入院も長引きます。
このため、3大疾病の場合は120日になる保険や特約も増えています。

総合失調症は、精神疾患です。
この病気になると1年以上入院も珍しくありません。120日保障でも心もとない。

一般的に入院は短くなっていますが、
入院が長引くリスクもないことはありません。
それに備えるには一般的な医療保険では無理です。
ソニー生命など一部の会社が扱っている長期医療保障か
収入保障保険の検討が必要になります。

3.3.4 対象となる病気やケガは何か

ポイント
・ すべての病気やケガが保障されるわけではない。
・ 2週間以上の入院が必要となる病気は含めたい。
・ 最低ラインは88種の手術

シンプルなガン保険では、 ケガ、盲腸から心臓病まで
それこそガン以外の治療や入院では1円もでない。
またガンであっても給付の対象外のガンもあります。

保険の対象とする病気の範囲にはいくつか言い方があります。
保険対象の範囲が広いほうが安心ですが、
広くなれば当然保険料は高くなります。
代表的な分類は以下です。
@ ガンのみ
  一番シンプルなタイプのガン保険です。
  ガン以外には何もでない。
  ガンでも上皮内のガンでは出ない。
  ただし上皮内ガンは、転移しないガンです。
  手術は必要ですが、悪性腫瘍とは違います。


A @と上皮内ガンも含む
  ガン保険対象外だった上皮内のガンも出るタイプです。
  ただこれでガン保険を使うと、
  その後、悪性腫瘍のガンになった場合
  ガン保険の適用範囲が狭くなることがあるので要注意です。


B 3大疾病
   3大疾病とは、ガン、脳卒中、急性心筋梗塞です。
   これになると保障が手厚くなったり、これ用の特約があったりします。
   ただ、実体としては、2ヶ月以上入院するような重い症状にならないと
   出ないものも 多いので注意が必要です。


C 8大疾病
  Bの3大疾病に5つの生活習慣病(高血圧症、慢性腎不全、慢性膵炎、
   糖尿病、肝硬変)を加えたものです。
   医療保険の特約ですが、住宅ローンとセットになった保険、団信保険にも多い。
  大体はBと同じで、切除、切断手術をしないと出ないものが多いです。
   このほか6大疾病とか7大疾病とかありますが、
  大半はこの8つから1つ2つ抜いたものです。
   ただし、中にはガン別にカウントしているものもあるので、確認は必要です。


D 88種の手術
   2〜3年前までの医療保険の主流です。
  この分類に入る健康保険対象のものだと手術給付金がでます。
  健康保険対象の手術すべてではありませんが、
   健康保険対象の手術の大体のケースはカバーできます。
   カバーしないものとしては
  ・扁桃摘出手術
  ・骨折手術の固定用金属の取り出し
   ・指の骨折、などがあります


E 1000種の手術
   Dを拡大し、健康保険対象なら手術給付金を出しましょうというタイプです。
   最近はこのタイプが多いです。
  このタイプは、健康保険適用内ならまずOKなので、分かりやすい。
   パッとみると、88種が一気に1000種に拡大したように見えますが
  分類の仕方が違うので単純な比較はできません。
  1000種と同じ換算をすると
  88種は、600〜700種ぐらいになるらしいですが
  だいたいのものは88種でもカバーできています。
  

3ヶ月間は猶予期間があります。(ガン保険)
ガン保険はガンになってからは入れません。
自分が今ガンでないことを証明するために 3ヶ月間の猶予期間があります。
ガン保険にはいっても3ヶ月以内に ガンを発症したら、保障対象外です。


3.3.5 入院1日目から保障は必要か

ポイント
・ 日帰り入院の保障は割に合わない。
・入院が4日以上になったら、1日目から保障するタイプが実用的。

日帰り入院でも1日あたりの保障が出る保険もあります。
とはいっても、5千円か1万円出るだけです。
そのために医師の診断書費用が5千円必要だったり
当然保険金請求手続きも必要です。
もともと日帰り入院を保障するため 保険料も少し割高になっています。
手間を考えると5千円や1万円では、割りに合わないと思います。

日帰り入院費用が生活に影響したりしない人がほとんどだと思います。
日帰り入院で保障よりも、 4日目からとかの方が、月々の保険料は安くなります。
入院が4日以上になったら、1日目から保障するタイプがよいでしょう。


3.3.6 入院通算何日までか(1000日など)

ポイント
・ 通算1000日以上の入院はまずない。

今、病院はどこも長期入院を歓迎しない。
手術が終われば1ヶ月以内に退院させられます。
3ヶ月も入院し続けるのはまれです。
仮に1回の入院が50日だとしても
1000日あれば、20回まで入院できることになります。

検討すべきは通算日数よりも、1回の病気での日数です。

3.3.7 給付金はすぐ支払われるか

ポイント
・早ければ早いほどよい
・保険会社のホームページやクチコミをチェック

保障対象の病気やケガになった場合、
支給にはどんな手続きが必要かで、支払われる時期が変わってきます。
医師の診断書が必要なものが普通ですが、
ライフネット生命が2012年10月に「じぶんへの保険」の 給付金請求を
原則、診断書不要にしました。

同社のリリースによると、これまで43日かかっていた
給付金支払までの日数が9日間に短縮されるとのことです。

だいたいが保険会社が指定する診断書を医師に書いてもらうだけで
5000円くらいするのでそれが無くなるのは画期的です。
(指定の診断書でなくても、対応可能かどうか保険会社に問い合わせてみるべきです。 病院が通常出している診断書では5000円もしないケースがほとんどです。)

支払までの日数については、
・ ネットの保険会社のサイトを見てみる。(Q&Aなど)
・ ネットの口コミを見る。(○○生命 支払日数 など)


3.3.8 定期か終身か

ポイント
・ 安く入れるうちに終身保険に入る
・ 若いほど60歳まで支払がお得
・ ただ、ガン保険など今の保険料は高すぎる。
・ 医療関係の保険料は、年齢が上がるほど高くなる。

歳をとればその分病気になりやすくなるので当然です。
若いときの10年定期の保険料は安いですが 10年後、更新するたびに高くなります。
その間、病気になれば、保険の乗り換えが出来なくなります。
入るなら、保険料の安いうちに、健康なうちに 終身型の保険に入ったほうがよいでしょう。
支払期間は、だいたい、60歳、65歳、終身(死ぬまで) で選べます。

加入年齢が若いほど、60歳までにした方がお得です。
ネットで、同一商品を60歳まで支払と終身払いで比較ができます。
例えば、加入年齢が30歳だとして
60歳まで支払:2,455円/月  終身払い:1,770円/月だとします。
年間の支払に直すとそれぞれ12倍して
60歳まで支払:29,460円/年 終身払い:21,240円/年になります。

30歳加入で60歳までなら、30年間支払うことになります。
そうすると支払う総額は
29,460円×30年間 = 支払総額 883,800円

これを終身払いの年額で割ると
終身で何歳まで払ったときに同じになるかが出ます。
883,800円 ÷ 21,240円 =41.6年(約41年7ヶ月)

加入年齢が30歳で計算しているので 60歳払いで加入し、
71歳7ヶ月以上生きれば、 終身で払い続けるよりお得ということになります。

この比較は、商品によってバラツキはありますが
30歳加入だと73歳±3ぐらいです。

これは加入年齢が上がっていくほど上がり、
45歳加入だと75歳±3ぐらいになります。

実際には、保険会社・商品で結構違うので 計算してみることをお勧めします。

若いうちから入るなら、60歳まで支払がお得です。
ただ一方で、今のガン保険などの保険料は不当に高いと思います。
いずれ保険料の価格破壊が起きるかもしれません。
そのとき健康で、 同じ保障をぐっと安い保険料で受けれるなら 乗り換えるべきです。
それを期待するなら終身払いの方がよいでしょう。  


3.3.9 10年ごとの報奨金はお得か

ポイント
・戻ってくる分だけ、保険料が高く設定されている。
・自分が払ったものが戻ってくるだけ
・コツコツ貯めるなら銀行などの自動積み立てにすべき

10年間、保険を使わなければ 10万円祝い金がでる、といったもの。
もともと月々の保険料に この10万円分が加算され、
当然その分だけ保険料が高くなります。
いってみれば、自分が積み立てたお金が返ってくるだけです。
また、大して利息がついているわけでもない。
大体は保険を使うともらえないし、 中途解約すればその分ムダになります。
それならその分、月々自分で貯金した法が 当然正解です。

そうはいっても、 月々コツコツと貯金できる人は少ない。
そんな人にはひとつの選択肢ですが、
そんな目的なら、銀行の自動積み立ての方が確実です。


東京海上日動のメディカル Kit Rは
70才で、一旦、それまで払った分から
受け取った保険給付金を引いた額を全額返金してくれます。
つまり70才までの保険料が実質ゼロになります。

一見お得ですが、これも同じような仕組みです。
70才で返金される分だけ、月々の保険料は
同じ保障の保険の2倍近くに高くなっています。
70才で一旦0になっても、それ以降は高いままの保険料です。

もし70才で返戻金をもらって解約するならお得ですが
70才で医療保険を乗り換えられる自信のある人はいるでしょうか。

3.3.10 誰でも入れる保険は必要か

割高で、支払条件が厳しい。
誰でも入れる保険は割高で
中には、ただの損害保険でケガの治療にしか使えず
病気のときにはまったく役に立たないものもあります。

保険に入れるかどうかは、保険会社にとってもリスクです。
誰でも入れれば、当然、保険会社のリスクも高くなります。
保険料を安くできる訳がありません。

ある程度病気やケガに備える貯蓄があるなら、
ほとんどの誰でも入れる保険は入らない方がよいでしょう。

むしろ持病を持つ前に、健康なうちに保険に入っておくのが正解です。
高血圧の家系だったり、 健康診断でよく再検査になるなら、
保険に入るなら早いほうがよいでしょう。




3.2 保険選びの10のポイント <-□



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